お施主さんから「白金台に路面店をつくりたいのだけれど‥」と設計の相談を受けたときには、すでに構想はある程度まとまっているようだった。 しかし、それを具現化し、建築士としてさまざまな角度から検証してみると──アプローチや動線の見直し、さらには法的な不備の可能性などが浮かび上がり、大掛かりな計画変更を余儀なくされた。
店舗が完成し、お引き渡しに至るまで、幾度となくお施主さんと綿密な打ち合わせを重ねた。 最終的には、お互いに納得のいく内容に仕上がったと自負しているが、それと同時に「解体してみなければ分からない」という改修工事特有の難しさを、改めて痛感する案件でもあった。
このお店の計画は、雰囲気の良い“江戸切子のペンダントライト”をお施主さんに見せられたところから始まった。 取り扱う洋服のテイストが「和」だったこともあり、打ち合わせではさまざまなキーワードが飛び交った。 検討を重ねるうちに、「よろけ縦縞」というイメージが自然と色濃くなっていった。
それに合わせて店舗の形やディテールも決まり、最終的には、コンパクトながらもコンセプトのバランスが取れた、品のある洋服屋さんになったのではないかと、いまはひと安心している。
|