スキップシンメトリーな住宅

住宅に対する要求は、時とともに変化していきます。
完成時や購入当初に思い描いた将来予測が、往々にして現実とは異なってくるものです。

家族構成や当初のライフスタイルをもとに必要な部屋を設定し、住宅の規模を想定します。もちろん、予算もこの規模想定において重要なファクターです。

たとえば──
「陽当たりのよいリビングが欲しい」
「対面キッチンが理想」
「トイレは2カ所必要」
「明るい洗面所があればいいな」
「寝室にはウォークインクロゼットを」
「個室は2室、できれば書斎(ホビールーム)も欲しい」

……と、夢と理想はふくらむばかりです。
そこで必要になるのが、取捨選択。つまり、「本当に必要な空間」と「そうでないもの」を見極め、優先順位をつけることです。とはいえ、これがなかなか決まらない、というのが実情かもしれません。

住宅には「ワンルームに始まり、ワンルームに終わる」という考え方があります。これは、ライフスタイルに合わせて空間を柔軟に捉える重要性を示す言葉です。

今回ご紹介するプランでは、1階にリビングやダイニング・キッチンといった生活空間を配置し、2階には大きなワンルーム空間を設けました。
浴室や洗面など、将来的に移動が難しい水廻りは「サイドコア」として集約し、2階ワンルームの自由度を高める狙いです。

つまり、個室は必要なときに、必要なかたちで仕切ることが可能です。住まい手が「決められた空間」に合わせて暮らすのではなく、自らの暮らし方に合わせて空間を編集できる——そんな住まい方の提案です。

また、この水廻りコアは1階と2階の中間レベルに配置しており、上下階のどちらからもアクセスしやすく、かつ独立性も確保しています。

構造形式はRC・鉄骨・木造いずれにも対応可能で、規模は80〜90㎡を想定しています。

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