築17年が経過し、空室の目立ち始めた賃貸集合住宅に対して、リノベーションによる再活性化の提案を行った。 計画地はJR武蔵野線・東川口駅から徒歩3分という好立地にあるが、空室率の高さが問題となっていた。
住戸の間取りは、いわゆる典型的な3DKおよび2DKタイプで、襖や可動間仕切りではなく、鉄筋コンクリートの躯体によって空間が構成されているため、圧迫感があり、個々の部屋が狭く感じられていた。
リノベーションの方向性を定めるにあたり、当初はターゲットとする賃貸層が明確ではなかったことから、レイアウトの検討にはやや時間を要した。 しかし、いくつかの使用ケースを想定しながらデザインを進めた結果、両タイプ共に基本構成を大胆にワンルームへと変更。SOHOや多目的な利用が可能な空間とすることで、住まい方の自由度を高めている。
また、本計画では住居としてだけでなく、小規模オフィスとしての利用も視野に入れ、仕上げ材の選定にも配慮を重ねた。 たとえば、土足利用に耐える木質系の耐久性の高いフローリングを採用し、壁面にはピンナップ等の貼付けがしやすい仕様を施すなど、不特定な使い方に柔軟に対応できる構成としている。
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