勝どき集合住宅

設計着手から竣工まで、大凡2年間携わった仕事が、建物の完成をもって終了した。
様々な角度から検討を重ね、住居として永く人々に利用される建築であって欲しいと願い、設計してきたのではあるが、設計完了から工事中の期間に、当初の想定と状況が変わってきたこともあり、修正を余儀なくされたことも多く、ものづくりの常であることと分かってはいても、いつも悩ましいことである。
グリッドデザインを基本とした外観は、100mm角の穴あきブロックと1住戸単位のコンクリートBOXによって特徴づけられているので、一見してこの建物の認識性の高さが分かると思う。内装は明るく清潔感のある仕上、質感を選んでいるが、特筆すべき点は少ない。
賃貸主体の住宅なので、将来は内装の変更が頻繁に行われること、2007年問題で言われるように、多くの主義主張を持った団塊の世代がフリーになる頃の社会情勢をも見据えると、リノベーションに対する建築の対策について、一歩踏み込んだ回答を出すべきであったと反省している。例えば、インフィルとして扱う仕上部材(間仕切壁など)をレンタル部品とするなどである。
建物の高さは約22mと、それほど高いわけではないが、最上階からの景観が意外と良いことは設計で予想していなかったことである。また、近隣に和菓子の工場があって時々甘い良い臭いが漂ってくることも良い点に数えておきたいところである。
今後この建物がどのように使われていくのかを見守りながら、次作においては「仕上の仕方」をテーマに計画を進めたいと考えている。
所在地: 東京都中央区勝どき4丁目
主要用途: 共同住宅、ホテル
用途地域: 第2種住居地域、防火地域
敷地面積: 330.61㎡
建築面積: 207.95㎡
延床面積: 1,311.03㎡
構造規模: 鉄筋コンクリート造 地上7階

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